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新卒一括採用の見直しとは?大手の事例から考える、自社の採用の選択肢

14 時間前
読了時間: 7分

変わる採用、これからの人材戦略|第1回



ここ数年、「大手企業が新卒一括採用をやめた」「これからは通年採用の時代だ」といった話題を目にする機会が増えました。若手の採用や、将来の中核人材の確保に課題を感じている企業ほど、「自社もこの流れに合わせて、採用のやり方を変えるべきなのか」と迷われているのではないでしょうか。


結論から申し上げると、制度の名前だけを見て追随する必要はありません。大切なのは、他社で「何が変わったのか」を要素ごとに分けて理解し、自社の事業や採用体制に照らして、取り入れるべき部分を見極めることです。本記事では、富士通とリクルートの公式発表をもとに、その整理の仕方を考えます。


「一括採用の見直し」は「新卒採用の終了」ではない



まず押さえておきたいのは、新卒採用を続けることと、一括採用を見直すことは別の話だという点です。


新卒一括採用は、卒業予定者を対象に、一定の時期にまとめて募集・選考する採用方式です。4月の一斉入社と組み合わせられることがありますが、応募・選考の時期、入社時期、職務・配属を決める時期は、それぞれ分けて考える必要があります。


一括採用の見直しとは、こうした要素のどこかを変えることであり、新卒者を採らなくなることを意味するわけではありません。ニュースの見出しや社内の会話では、この二つが混同されがちです。「一括採用をやめた=新卒は採らない」と受け取ってしまうと、自社の判断を誤るおそれがあります。


何が変わったのかを、5つの要素に分けて見る



採用の仕組みは、少なくとも次の5つの要素に分けて考えることができます。


・応募・選考時期:いつ応募を受け付け、いつ選考するか(受付と選考の日程は、別々に設計できます)

・入社時期:一斉に入社するか、複数の入社時期を設けるか ・応募対象:在学生のみか、既卒者や就業経験者も含めるか

・職務・配属の決め方:入社前に決めるか、入社後に決めるか

・選考で評価するもの:知識・経験・技能、仕事への理解、学ぶ力などを、どのような基準と方法で確認するか


他社の「見直し」がどの要素を変えたものなのかを確かめると、自社に関係のある変化と、そうでない変化を分けて考えやすくなります。


富士通の事例:変えたもの、続けているもの



富士通は、2025年3月7日に「ジョブ型人材マネジメント」に基づく採用方針を発表しました。必要な職務を担う人材を、新卒採用・キャリア採用の区分にこだわらず、計画数を定めずに通年で柔軟に採用していくという内容です。あわせて、入社前に1か月から6か月、現場で実践的な業務を経験する有償インターンシップを拡大する方針も示されています。

続く2025年4月の中期経営計画進捗レビューでは、新卒の一括採用を廃止し、ジョブ型の採用・処遇に統一する方針が示されました。資料では、2026年4月入社者から実施する方針とされていました。


同社の採用担当者は、公式note(2025年5月公開)で、この方針についておおむね次のように説明しています。


・新卒者の採用は引き続き行う。新卒向けの求人は、キャリア採用向けの求人とは別のものである

・応募者は、入社する「会社」を選ぶのではなく、入社して「何をやりたいか」を選ぶようになる


・入社後の研修も引き続き行う ・選考は、人事に代わって現場の部署がリードする場面が増えた

現行の採用案内も見ておきましょう。2027年卒向けの公式採用ページでは、内定時に配属先の職場と職種を約束する「JOBマッチングコース」が示されています。一方で、応募の受付は複数の期間に分けて設けられていました。「通年採用」と聞くと、いつでも応募できる仕組みを想像しがちですが、受付期間の設け方は企業や求人によって異なります。


つまり富士通では、採用計画の立て方と採用時期の考え方に加えて、「職務・配属の決め方」と「選考で何を確認するか」が大きく変わったと整理できます。新卒採用をやめたわけではありません。また、ジョブ型の考え方を弱めたのではなく、ジョブ型の人材マネジメントを新卒採用にまで広げた取り組みと捉えるのが自然でしょう。


通年エントリーは、以前からある取り組み



「通年採用」という考え方自体は、最近になって生まれたものではありません。たとえばリクルートホールディングスは、2018年1月17日に、国内9社の新卒採用を統合すると発表しました。この発表では、2019年度以降の方針(予定)として、365日の通年エントリー受付や、大学3年生の3月から30歳以下であれば既卒者・就業経験者も応募できることなどが示されています。発表文によると、こうした取り組みは統合前から、グループ内の一部の会社ですでに始まっていたものでした。


なお、これは2018年時点の発表であり、同社の現在の募集条件を示すものではありません。


この例から分かるのは、通年でのエントリー受付や応募対象の拡大は、大手で以前から試みられてきた選択肢だということです。新しい流行として慌てて取り入れるものではなく、自社の目的に合うかどうかで判断できる選択肢の一つと捉えるのがよいでしょう。


自社の採用を整理するための5つの問い



では、自社はどう考えればよいのでしょうか。前述の5つの要素について、「今どうしているか」と「変える必要があるか」を書き出してみることをおすすめします。

【表】自社の採用を整理する5つの問い


要素

確認したい問い

現状の例

見直しの選択肢の例

応募・選考時期

欠員や事業計画の時期と、受付・選考の時期は合っているか

年1回、まとめて募集・選考

一部の職種だけ受付期間を広げる

入社時期

4月以外の入社を受け入れられるか

4月に一斉入社

10月入社の枠を設ける

応募対象

在学生以外にも会いたい人材はいるか

新卒(在学生)のみ

既卒者・第二新卒も対象にする

職務・配属の決め方

入社前に、担う仕事を示せるか

入社後の研修を経て決める

職種別に募集する

選考で評価するもの

何を、どのような基準と方法で確認しているか

面接官ごとの判断に委ねている

共通項目と職種別項目を定める


すべてを変える必要はありません。たとえば、4月の一斉入社と同期研修が自社の育成の強みになっているなら、入社時期はそのままにして、職種別の募集だけを試すという判断も十分に成り立ちます。反対に、採用担当者が一人しかいない企業が、いきなり受付と選考を年間を通じて続けるのは負担が大きいかもしれません。


大手の事例は、そのまま真似するための見本ではなく、自社の採用を点検するための材料です。自社の事業計画、人員体制、育成の仕組みと照らし合わせ、どの要素を変えると効果がありそうかを見極めることが、判断の出発点になります。


まとめ:「いつ採るか」に加えて決めておきたいこと


新卒一括採用の見直しは、新卒採用の終了ではなく、採用の仕組みのどこを変えるかという選択です。富士通の事例で注目したいのは、採用時期の変更に加えて、「どの仕事を担ってもらうのか」を起点に採用を組み立て直している点です。

自社の採用を考える際も、いつ採るかに加え、何を担ってもらい、何を基準に選び、どう育てるかを明確にしておくことが大切です。この4点が定まっていれば、採用の時期や応募対象を広げるかどうかも、自社の状況に合わせて落ち着いて判断できます。


次回は、実際に通年採用や第二新卒採用を始めようとするときに、企業が事前に整えておきたい準備を、5つの項目に分けて具体的に整理します。


参考資料

・富士通「『ジョブ型人材マネジメント』に基づく採用方針について」(2025年3月7日)  

・富士通「中期経営計画 進捗レビュー」(2025年4月24日)  https://pr.fujitsu.com/jp/ir/library/presentation/pdf/20250424-01.pdf

・富士通 採用担当者による公式note「新卒"一括"採用廃止の裏側に迫る!」(2025年5月19日)  

・富士通 新卒採用情報「応募コース・選考フロー」  https://fujitsu.recruiting.jp.fujitsu.com/recruit/flow/

・リクルートホールディングス「リクルート、国内9社の新卒採用を統合」(2018年1月17日)  

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