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なぜ優秀な学歴の人材が成果を出せないのか?ビジネスIQの視点から解説

  • 執筆者の写真: 樋口 理一
    樋口 理一
  • 10月20日
  • 読了時間: 7分
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「有名大学出身者を採用したのに、思ったような活躍をしてくれない」 「学歴は申し分ないのに、営業成績が伸びない」 「頭は良いはずなのに、チームをまとめられない」

多くの経営者や人事担当者が、このような悩みを抱えています。優秀な学歴を持つ人材を採用したにもかかわらず、期待した成果が得られないというギャップは、なぜ生まれるのでしょうか。

その答えは、「学歴で測れる能力」と「ビジネスで成果を出す能力」が全く別物だからです。本記事では、ビジネスIQの視点から、この問題の本質と解決策を探ります。


学歴が保証するのは「過去の学習能力」だけ 

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まず理解すべきは、学歴が何を証明しているのかという点です。

高学歴であることは、確かにその人が優秀であることの一つの証拠です。難関大学に合格するには、膨大な知識の習得、高い記憶力、試験に対応する技術が必要です。これらは間違いなく、その人の能力を示しています。

しかし、学歴が証明しているのは、あくまで「過去に学習能力があった」という事実だけです。

  • 定められた範囲の知識を効率的に習得できた

  • 試験というルールの中で高得点を取ることができた

  • 目標に向かって計画的に努力を続けられた

これらは素晴らしい能力ですが、ビジネスの現場で求められる能力とは必ずしも一致しません。


ビジネスで求められる能力は「答えのない問題」への対処力

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学校教育の世界には、常に「正解」が存在します。数学の問題には明確な答えがあり、歴史の試験には覚えるべき事実があります。そして、その正解を導き出す方法も、ある程度確立されています。

一方、ビジネスの現場はどうでしょうか。

・この顧客にどうアプローチすれば契約が取れるか? ・組織の生産性を上げるにはどんな施策が有効か? ・新規事業で成功するためには何をすべきか? ・競合他社に勝つための差別化戦略は?

これらの問いには、唯一の正解がありません。状況によって最適な答えは変わり、しかもその答えが本当に正しかったかどうかは、実行してみなければわかりません。

高学歴の人材が苦戦する理由の一つは、「正解を探す思考」に慣れすぎているからです。ビジネスでは、正解を見つけるのではなく、「より良い解」を自ら創り出す力が求められます。


高学歴人材が陥りやすい5つの落とし穴

高学歴であるがゆえに、ビジネスの現場で苦戦してしまうケースがあります。代表的な5つのパターンを見ていきましょう。


【落とし穴1:分析過多で行動できない】

高学歴の人材は、情報収集や分析が得意です。しかし、完璧な答えを求めるあまり、分析ばかりして行動に移せないケースがあります。

ビジネスでは、60点の答えでも素早く実行し、結果を見ながら改善していくスピードが重要です。100点の答えを待っているうちに、市場環境が変わってしまうこともあります。


【落とし穴2:知識に頼りすぎて感性が鈍い】

知識や理論は重要ですが、ビジネスの現場では「空気を読む力」も同じくらい重要です。

例えば、営業の場面では、顧客の表情や声のトーンから本音を読み取る必要があります。データ分析だけでは見えない「感覚的な情報」をキャッチする力、つまりビジネス感性が求められます。

しかし、論理的思考に偏りすぎると、この感性が育ちにくくなります。


【落とし穴3:プライドが邪魔をする】

高学歴であることに誇りを持つのは悪いことではありません。しかし、「自分は優秀だ」というプライドが強すぎると、他者からのアドバイスを受け入れられなくなります。

ビジネスでは、経験豊富な先輩や、学歴は低くても現場を知り尽くしている人から学ぶことが数多くあります。素直に学ぶ姿勢がなければ、成長は止まってしまいます。


【落とし穴4:失敗を極端に恐れる】

学校教育では、失敗は「減点」です。テストで間違えれば点数が下がり、成績が悪化します。そのため、高学歴の人材の中には、失敗を過度に恐れる傾向があります。

しかし、ビジネスでは失敗から学ぶことが成長の糧になります。失敗を恐れて挑戦しない姿勢では、大きな成果は生まれません。


【落とし穴5:柔軟性に欠ける】

学校教育では、ルールや手順が明確に定められています。「この方法で解けば正解」という確実性があります。

しかし、ビジネスでは状況が刻々と変化します。計画通りにいかないことの方が多く、その都度、柔軟に対応を変える必要があります。

一つの方法に固執し、状況に応じた柔軟な対応ができないと、成果を出すことは難しくなります。


成果を出す人材に共通する「ビジネスIQ」の高さ

では、学歴に関係なく成果を出し続ける人材には、どのような共通点があるのでしょうか。

それは、「ビジネスIQ」の高さです。

ビジネスIQが高い人材は、以下のような特徴を持っています。


・初めて直面する問題でも、本質を見抜き解決策を導ける(地頭力) ・データだけではなく、空気や変化の兆しを感じ取れる(ビジネス感性) ・状況に応じて最適な行動を柔軟に選択できる(柔軟な思考力)

学歴が高い人の中にも、ビジネスIQが高い人はたくさんいます。しかし、学歴とビジネスIQは必ずしも比例しないのです。


採用ミスマッチを防ぐために、何を見極めるべきか 

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「優秀な学歴の人材が成果を出せない」というミスマッチを防ぐには、採用の段階でビジネスIQを見極めることが重要です。

従来の面接や書類選考では、学歴や職歴、表面的なコミュニケーション能力しか見えません。しかし、本当に知りたいのは「この人は実際にビジネスで成果を出せるのか」という点です。

そのためには、以下のようなアプローチが有効です。


【1. 行動特性を見る質問をする】

「過去に前例のない課題に直面したとき、どう対応しましたか?」 「計画通りに進まなかったプロジェクトで、どのような判断をしましたか?」

こうした質問を通じて、候補者の思考プロセスや行動パターンを探ります。


【2. 実務に近いケーススタディを課す】

架空のビジネス課題を与え、どのようにアプローチするかをプレゼンしてもらう方法も有効です。これにより、地頭力や柔軟な思考力を確認できます。


【3. 科学的なアセスメントツールを活用する】

ビジネス資質を客観的に測定できる診断ツールを活用することで、面接だけでは見抜けない資質を可視化できます。


既存社員のビジネスIQを伸ばす育成施策

すでに在籍している高学歴社員のビジネスIQを伸ばすことも可能です。以下のような育成施策が効果的です。

・多様な経験を積ませる:異なる部署や役割を経験させることで、柔軟な思考力を養う ・失敗を許容する文化を作る:挑戦を促し、失敗から学ぶ機会を提供する ・現場の最前線に立たせる:顧客と直接向き合う経験が、ビジネス感性を磨く ・フィードバックを繰り返す:客観的な評価とアドバイスを通じて、自己認識を深める

特に重要なのは、「知識を得ること」よりも「経験から学ぶこと」を重視する姿勢です。


まとめ:学歴はスタート地点、ビジネスIQが成果を決める

優秀な学歴を持つ人材が必ずしも成果を出せないのは、学歴が証明する能力とビジネスで求められる能力が異なるからです。

学歴は「過去の学習能力」を示すものであり、「未来の成果」を保証するものではありません。ビジネスの現場で本当に必要なのは、ビジネスIQ、つまり地頭力、ビジネス感性、柔軟な思考力なのです。

採用においては、学歴だけでなくビジネスIQを見極めること。そして、既存社員に対しては、ビジネスIQを伸ばす育成施策を実施すること。

この2つのアプローチによって、「優秀な学歴なのに成果が出ない」というミスマッチを解消し、真に成果を出す組織を作ることができます。

あなたの組織では、学歴以外のどんな基準で人材を評価していますか?そして、ビジネスIQを高める取り組みができているでしょうか?

今こそ、人材の見極め方と育て方を見直すタイミングです。

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